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2019.09
水野敬也著『夢をかなえるゾウ』子どもたちへの超絶おすすめ本
塾長さん「本のバトンリレー」3冊目です。僕からの紹介はこれで最後にして、また他の塾長さんにバトンを渡そうと思います。
1冊目「そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも生きていける知識をシェアしようじゃないか」
2冊目「家族への夢」
どちらも大人を対象としている感じがするので、最後は子どもたちにぜひ読んでほしい本を紹介します。
「先生、何かおもしろい本教えてください」と聞かれることがあったら必ず紹介している本です。
今回のブログは、子どもたちに語りかけるつもりで書きますので、いつもと少し雰囲気が違うかもしれませんが、よろしくお願いします。
「夢をかなえるゾウ」
数年前にベストセラーになりました。でもいまだにアマゾンのKindle版小説文芸カテゴリで「ベストセラー1位」をキープしている不朽の名作です。
冒頭の部分だけ簡単なあらすじを・・・
東京タワーが窓から一望できるような高層マンションの大きな部屋に、大成功している実業家や、テレビタレント、プロ野球選手などが集められ、ある著名人のパーティが開かれていた。
さえないサラリーマンである主人公は、ひょんなことからこのパーティに参加することができた。
しかし、その華やかな世界の片隅で、誰にも声をかけず、誰からも声をかけられることなく、自分の存在すら否定されているような感覚を味わいながら、ちびちびとお酒を飲んでいた。
その日、自分の住む安アパートに帰った主人公は、自分の住む世界と、さっきまでの華やかな世界とのちがいに愕然として、「変わりたい」という思いを強く抱き、号泣しながら眠りにつく。目覚めるとそこにはガネーシャという神さまが…。
なぜか関西弁をしゃべるゾウのような顔をしたこの神さまと、変わりたいと願うさえない男との生活が始まる。
ガネーシャは毎日一つずつ、彼に「課題」を出します。
この課題は、夢をかなえるために、そしてそれまでの自分を変えるために、重要な課題…とされつつも、「靴をみがく」「コンビニでおつりを募金する」など、なんとなく地味なものが多いのです。
しかし、その地味な課題がいかに大切なことであるかを、過去の偉人の話などをまじえてガネーシャが主人公に語っていきます。
やり抜くためにはまず楽しむことが大事。
歴史に名を残すような偉人の話を聞くと、すげえなあとは思いながらも、自分には関係のない世界の人の話だと完全に神格化させてしまう人が多いですが、みなすべて人間です。(僕がえらそうに言うのも複雑な気持ちですが・・・)
偉人たちが普通の人以上に特化していたのは、ものごとを楽しむことだったのかもしれません。
本書の中では、手塚治虫のそんなエピソードが書かれています。
ガネーシャが手塚治虫が死ぬ直前のベッドの上でも漫画を書き続けていたエピソードを紹介し、こう続けます。
「自分らはな、成功してる人の仕事のやり方聞くと『努力家だなあ』って思うやろ。そして同時にこうも思うはずや。『自分にはとても同じことはできない』。
でもな、手塚治虫くんは、努力家やったんかな? いや、確かにそういう面もあると思うで。でもな、病院のベッド上で死にかけてんのに、『努力しよう』とか『我慢して頑張ろう』とは思わへんのちゃうかな?」
それを聞いた主人公はこう相づちを打ちます。
「たしかに、そうですよね。嫌なことを無理して頑張ろうとは思わないでしょうね」
そして、ガネーシャが言います。
「それでも描くっていうことはな、単純に『やりたかったから』やと思うねん。とにかくやりたかったから、つい描いてしもたんやろなあ」
「楽しい」と思うから、そのことが「好き」になり、そしてその好きなことを「とことんやりたい」と思い、徹底的にやり抜いて、ずば抜けた技術を手にしたり世界的な評価を得られるまでになったりしたという話ではないでしょうか。
受験勉強にあてはめるなら・・・?
やり抜くためには、まず楽しむことが大事。
それを、多くの人にとって「やりたくなくてもやらないわけにはいかない受験勉強」にあてはめるなら、どう考えたらいいでしょうか。
勉強そのものの楽しさに気づく。
・・・今書いてきた話と矛盾するようですが、そのものごとの本当の楽しさを知るためには、やはりそれをとことんやってみなければ、その楽しさを感じるのはなかなか難しいことだと思います。
だから、勉強という行為そのものにこだわりすぎず、自分が今実行していることは、自分を成功へ導き、自分を確実に成長させるんだ、変えていくんだと、まずはその思いを強く持つことが重要です。
そして、その成長した自分の姿を思い浮かべます。
仮に現実ばなれした極端な理想であってもかまいません。…何となく楽しい気持ちになれるはずです。
変わった自分を想像する。
大金持ちになっている自分。
医者になって多くの命を救うため奮闘している自分。
芸人になって日本中のお茶の間に笑いという幸せを届けている自分。
めっちゃ頭が良くなって将来の日本を背負う政治家や実業家と対等に話をしている自分。
ミュージシャンになって日本武道館の満員の観客の前で歌声を披露している自分。
恋人の誕生日に東京の夜景を自家用ヘリで上空から眺めさせてやり「君だけの特別席だよ♥」とつぶやくキザな自分。
今の自分にはない自分を想像するのは楽しいものです。笑
このように「自分が変わっていくことは楽しいこと」なんだという事実を感じてください。
勉強について考えてみましょう。
新たに覚えた知識、使いこなせるようになった知識、昨日までは知らなかった、使いこなせなかった自分よりも、少し変わった自分。
大きく「変わった」とはいえないけれど、その小さな「変わった」を毎日眠りにつく前に自分にはっきり言ってやります。
「今日はよくやったなぁ。前は同じ問題でもかなり間違えてたのに今日は九割はあってたな。明日もまたがんばろうか。」そんなふうに自分に話しかけてやります。
最初は勉強そのものにはあまり楽しさを感じないのが普通でしょう。
でも、昨日と変わった自分を自分に教えてやることで、頑張ることが楽しいことになっていき、楽しいことを続けているうちに、やっていること(ここでは勉強)ができるようになってきて、ますます楽しくなってくるかもしれません。
頑張れたことを思い出して自分をほめる
先ほどの手塚治虫の話の部分でガネーシャはこうも言っています。
「これからはな、毎日寝る前に、自分がその日頑張れたことを思い出して『ようやったわ』ってホメや。一日のうち、絶対一つは頑張れてることあるから、それを見つけてホメるんや。一日の最後はな、頑張れんかったことを思い出して自分を責めるんやなくて、自分をホメて終わるんやで。そうやってな、頑張ったり成長することが『楽しい』ことなんやて、自分に教えたるんや」
怒られて責められて、やれと言われてやらされて…。
逃げ出したい気持ちに満ちあふれた状態で、どんなに頑張っているそぶりを見せても、やはり効果は出にくいのが現実です。
それに、怒られるよりホメられたほうが楽しいでしょう。
だからこそ、頑張っている自分をホメてあげると同時に、自分が昨日とは変わったと教えてやることで、その行為が楽しくなるなら、このガネーシャの教えはぜひ実行してもらいたいものです。
そして、自分をホメるということを続けると、自分に自信がつき自分が好きになっていきます。
実にいい相乗効果ですよね。
本のバトンリレー、次の塾長さんは・・・!
名学館 小牧新町校の塾長、吉澤 潔 先生にバトンをお渡しします!
吉澤先生は、毎年愛知県で最も早く公立高校入試の問題・解答を公開してくれるツワモノです。
もちろんそれだけではありません。
「高校時代は数学とか物理の本ばかり読んでいた」と言っていました。
高校時代に数学とか物理の本があることを知らなかった僕とは真逆の、そっち系の先生です。笑笑笑
上のブログをご覧いただくと分かっていただけるように、「分析」が非常にこまかく、保護者にも学校・塾の先生にも有益な情報を発信してくださっています。
本のバトンリレーは、お仕事の合間に良かったら…みたいな感じでまったり進んでいるようなので、更新はいつになるか分からないと思いますが、みなさんお楽しみに!