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エッセイ「教科書が教えないリアル」

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『AI vs 教科書が読めない子どもたち』~読解問題ができない理由~ | 学習塾カレッジ塾長 エッセイブログ

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06

2018.07

『AI vs 教科書が読めない子どもたち』~読解問題ができない理由~

国語の読解問題をできるようにすることは、ほかの教科をできるようにすることよりも時間がかかります。

 

 

時間がかかる上に効果を実感しにくいので、「国語なんて日本語だし」という安易な発想から、あとまわしにされがちな教科です。

 

 

結果、普段はほとんど国語の勉強をせず、テスト前に塾でもらった「出題パターンプリント」と漢字などの語句を必死に覚え、なんとか凌いでいる子は日本中にたくさんいると思います。

 

それでも定期テストについてはそこそこの点数が取れてしまうので、特にうまくいっちゃった子ほど、普段からの国語の勉強の必要性を感じることがあまりありません。

 

 

こわいですね。

 

 

直前に暗記して学校の定期テストを乗り越えることは、自分の読解力のなさへの自覚を鈍らせる、痛み止めの注射みたいなものです。

 

 

「暗記」によって読解問題でマルがついたとしても、決して「読解力がついた」わけではないのですから。

 

 

根本的なことは何も解決していないので、初見の文章が出題される実力テストなどでは、その文章で書かれているテーマの前提となる知識の有無、興味の有無などによって大きく得点が乱高下してしまいます。

 

 

 

国語力向上重視の塾、学習塾カレッジ。

 

 

読解力のなさが国語のみにとどまらず全教科にわたってその理解力に影響してくることは、もはや多くの人の知るところとなりました。

 

 

パターン計算の速さなど、たいして役に立たないことを、多くの親たちが気づいているのです。

 

 

それゆえか、最近は公文のテレビCMも国語を前面に出してきているように感じます。(゚Д゚)ノ

 

 

各地に国語専門の塾が誕生し、そこに生徒が集まっています。

 

 

カレッジは国語専門の塾ではありませんが、「国語重視」を掲げて実行している塾です。

 

 

(以下の画像:学習塾カレッジの通年用チラシより抜粋)

 

 

 

おかげさまで地域の人気塾です。笑

 

 

新井紀子著「AI VS.教科書が読めない子どもたち」

 

 

『AI VS.教科書が読めない子どもたち』

 

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ちょっと難しい本ですが、ベストセラーですので手に取られた方も多いかもしれませんね。

 

 

僕はバカのくせにあまり見栄を張らないので、何もしないとそのままバカに見えます。(T_T)

 

 

バカに見えたら子どもを預けるお母さんたちが心配になってしまいます。(; ・`д・´)アカン

 

 

だから勉強するのです。

 

 

見栄を張るのではなく、
頑張るのです。 

  ↑

「張る」をかけてます。( *´艸`)w

 

 

 

素直な感想を言いますが、この本を読み始めてしばらくするとささやかな退屈感を覚え始めました。苦笑

 

 

正直あまりAIの進歩や開発の過程に興味も前提となる知識もない僕にとっては、「研究者」の成果発表と主張が続く文脈は、細かめの字でおよそ300ページも続く道のりを挫折せずに歩ききれるのかと不安にさせられるものだったのです。(もちろん興味深いと感じる部分もありましたが。)

 

 

しかし、この本を絶賛している方の中には「この本を読まずして教育は語れない」とまで言われる方がいましたので、僕が挫折するわけにはいきません。(-“-)ウム

 

 

頭のいい人の言葉づかいだなあ

けど親近感は湧かないな(-“-)

 

とか

 

「読了」ってSNSにあげてる奴の大半、ほんとに内容わかってるの?!

見栄はんなよ(-“-)

 

とか

 

余計なことばかり考えて、僕もその「大半」の一人にならないように必死に退屈感を抑えながらページを進めていきました。笑

 

 

全国2万5000人を対象にした「基礎的読解力」調査

 

 

そんな雲行きが変わったのは第3章に入ってからでした。

 

 

全国2万5000人を対象に「基礎的読解力」を調査した結果と分析、そしてそんな分析結果を明確な根拠とした筆者の主張が、実に説得力を持っていて「小難しい話を飛ばしたい人、あんまりAIに興味のない人は3章からどうぞ」って書いておいてほしかったと思うくらいです。笑

 

 

 

 

以下同著230-231ページからの引用となりますが、読んでいて思わず「そーだそーだ」と声を出したくなりました。笑

 

 

 

読解力以前の大きな問題

 

 

読解力調査」は、「短文」を読む問題でしたのであまり語彙力や前提となる知識を必要としないものでした。

 

 

だから「純粋な読解力」に限りなく近いと判断できるものを調べることができたのだと思います。

 

 

文章が長くなると「読めない」主な原因が、「読解力不足」なのかそれとも「語彙力不足」なのか分かりにくくなります。

 

 

 

僕は学生時代から塾の講師を始めて、20年以上ずっと子どもたちの国語の指導に携わってきました。

 

 

「読解問題ができない」子たちには、共通して読解力以前の大きな問題が2つあると考えています。

 

 

うちの子ちっとも読解問題ができるようにならないんだけどとお悩みのお母さんや、生徒がいつまでたっても読解問題で安定した力をつけてくれないと頭を抱えている先生方は、次に挙げる「超・そもそも」の点をチェックしてみてください。

 

 

 

まず1点目が「語彙力不足」です。

 

 

 

そもそも言葉の意味が分からない、というのは読解問題を解く上で致命的です。

 

 

(例題)次の文を読んで、あとの問いに答えなさい。

わたしのお父さんは、どんなときも कोमल 人だった。

問い 文中の「お父さん」はどんな人ですか。

   ア きびしい人
   イ やさしい人
   ウ あかるい人

 

 

 

Σヾ(゜Д゜) イヤ分かるか!

 

 

ですよね?笑

 

 

言葉の意味が分からない、もしくは間違って理解しているというのは、こういうことです。

 

 

これでは読解問題は解けません。

 

 

たしかに読解力うんぬん以前の問題だと思いませんか?(‘ω’)ノ

 

 

ちなみに「कोमल 」は、ネパール語で「優しい」という意味の言葉だそうです。(google翻訳w)

 

 

 

抜き打ち語彙力調査結果

 

 

以前、子どもたちに抜き打ち語彙力テストを行ってみました。

 

対象は小2~中3のカレッジの塾生です。

 

 

数人の欠席者もいたので全員ではないことに加え、少人数定員制のカレッジゆえに統計としては十分なものとは言えないものですが、興味深い結果となりました。

 

皆さんも、ぜひ考えてみてください。

 

 

【問題】つぎの①~③の文にある「いそいそ」のつかいかたとして、正しいものはどれですか。ばんごうでこたえましょう。

①時間がなくていそいそと出かけて行った。

②長居すると悪いのでいそいそと失礼した。

③遠足が楽しみでいそいそと準備した。 

(実際の問題プリントには漢字の読み方はつけてありました。)

 

 

小2~中3までの子たちが選んだ選択肢は、以下のようにほぼ同じくらいの割合に分散しました。

 

 

裏を返せば3分の2にあたる子たちは「いそいそ」の意味を正しく理解していないことになります。

 

 

この問題は、下のリンクから「いそいそ」の意味をご確認いただくことで正解発表とさせてください。

 

いそいそ(コトバンク)

 

「いそいそ」の意味を、「あわてて」とか「いそいで」と考えた子はまちがった使い方の文を選んだのではないかと思います。

 

 

いやでもこんなひっかけみたいなむずかしい言葉はズルいよ、と思ったあなた。

 

 

実は、「いそいそ」は小2の国語の教科書に出てくる言葉です。

 

 

 

そのため、春にこの意味を説明していた小2の子たちは、学年別の正解率では全学年中トップの67%でした。(9人中6人正解)

 

授業の説明をよく覚えていましたね。( *´艸`)エライ

 

 

なお、1位の座を小2に奪われた中3の子たちは、実際の「読解力調査」の全国中学生正答率12%だった下の問題で、正答率70%を出し意地を見せてくれました。( *´艸`)エライ

 

 

 

語彙力は、文章読解の要となる重要な力です。

 

カレッジ小学部の国語の宿題に、毎回たくさんの「語彙力」の問題がついている理由もご理解いただけたかと思います。

 

 

 

さて、「読解問題ができない」子たちに共通する読解力以前の大きな問題の2つ目です。

 

 

 

それは、「漢字が読めない」ことです。

 

 

 

 

「てんぜんの はやしが とよとみ」

「かいばらを ずる」

 

これらは僕が中学生の授業で生徒に読み方を確認したときに、実際に生徒が答えた読み方です。

 

なんのこっちゃですよね。

 

元はこちらです。

 

「天然の林が豊富」

「回復を図る」

 

 

「てんねん」「ほうふ」「かいふく」「はかる」という言葉は、彼らの人生の中で何度も耳を通過している言葉です。

 

 

家族との会話、学校での会話、テレビから聴こえたことも、通りすがりの大人が話していたのが聞こえたこともあったかもしれません。

 

 

むしろこれらが、どんな文脈で使われているかもそこそこに思い出すことができる(=意味が何となく分かる)なじみの言葉なのです。

 

 

しかし、その言葉を漢字で表され、知っている言葉とその文字とが一致しません。

一致しない上に読み間違えてしまうことによってまったく初対面の言葉となってしまいます。

さらに、「とよとみって、ひでよし?」とトンチンカンな連想が起こり、ますますワケワカンネってなってしまいます。

 

 

文章をこのように読んでいたら内容が理解できるわけがありません。

 

 

逆に、正しく読むことができれば、仮に正確な意味を知らなかったとしても、耳にしたことのあるその言葉が「どんな文脈で使われているか」を思い出して、だいたいの意味を想像することもできるかもしれません。

 

「訓読み」は日本語として意味の分かる読み方ですので、漢字そのものの意味をあらわすこともあります。

 

すると、仮に読み方が正確でなくても、漢字からその意味を想像して文脈をつないでいくこともできる場合があります。

 

訓読みは特にしっかり覚えましょうね。

 

 

 

漢字の書き取りテストをしているから大丈夫というあなた?

 

不思議なものですね。

僕もかつては、漢字は「書けるならば読める」と思い込んでいました。

 

 

200問の漢字語句を、何度も何度も練習テストを繰り返して、「書き」は完璧と言えるほどに仕上がった子どもたちに、抜き打ちで「読み取りテスト」を行ってみて驚きました。

 

平気で5~10の漢字の「読み」を間違えるのです。

 

 

理由はよく分かりません。苦笑

 

とにかく、「書き取りができる」=「読める」わけではないことだけは事実なのです。

 

 

漢字の書き取りは、とても重要ですが、読解問題を解く上では「漢字の読み力」も非常に重要です。

その2つがそなわった上に、初めて「読解力」うんぬんの話が出てくるのだと思います。

 

 

 

「読解問題ができない」とお悩みの方は、読解の大前提となる「意味と読み」の力について、あらためて確認してみると何かの糸口になるかもしれません。

 

 

それではまた。

 


 

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執筆者の紹介

西川 賢

西川 賢(Ken Nishikawa)

株式会社カレッジ代表取締役
学習塾カレッジ塾長

慶應義塾大学 通信課程 文学部 第1類在学中。
真面目なのかふざけているのか分からない、忖度ひかえめなピリ辛スパイスがちょっとくせになる「教科書が教えないリアル」は、塾長の優しさとおふざけと強い信念がつまったエッセイブログです。月に1回程度のアップでも、おかげさまで年間PV200万😊
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