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2016.04
勝負の世界で生きる、北島康介。
水泳。
ちょっと抗議が殺到してるみたいですね。
水泳の北島康介選手が、リオ五輪の代表選考を兼ねた日本選手権(男子100m平泳ぎ)の決勝で2位でしたが、記録が五輪出場条件の派遣標準記録には0秒3届かなかったため、五輪出場の切符を逃しました。
抗議というのは、この代表条件が「厳しすぎる、北島をリオに行かせてやれ」というものらしいです。
五輪競泳代表内定条件
日本水泳連盟が定めたリオ五輪競泳代表の内定条件は以下のとおり。
日本選手権において、
①各種目の2位以内
②派遣標準記録の突破
この2点を両方ともクリアした選手が代表に選ばれる。
※派遣標準記録:日本水泳連盟が、五輪の決勝進出を見込めるラインを、世界ランキングなどをもとに算出し、独自に定めたもの。
たしかに、決勝で2位だったから①の条件はクリアしている。
だが、②の条件は?
わずかに0秒3届かず、クリアできていない。
「両方ともクリア」しなければいけないのだから、それは・・・・
と思いつつ、実は今回の北島康介。
準決勝ではこの派遣標準記録を上回っているのです。
ところが、日本水泳連盟は2月17日に発表した「選考方法」の中に、しっかりと「選考は決勝のタイムとする」と明記しているではありませんか。
北島康介の功績
北島は20年水泳界、いや日本アスリート界を引っ張ってきました。
数々の感動を与えてくれたし、勇気をくれました。
熱くてストイックな精神に、尊敬やあこがれを抱きます。
彼自身苦悩した時期もあり、それを乗り越えてきた過程も多くの人が知っているからこそ、心から応援しているファンがいて、僕自身もその一人です。
だから、北島を、オリンピックに行かせてあげたい。
・・・あげたい気持ちはものすごくあるが、
こういう抗議は、結果が出てからするものではないと思っています。
勝負の世界
もし基準が厳しすぎると思うなら、発表の段階で「ものいい」をつけるべきなのだ。
実際、大会当日まで多くの選手が、この世界でメダルが取れる「基準」を目指して死にもの狂いのトレーニングをしてきたはずです。
決勝一発勝負に賛否はあるかもしれませんが、これまでだれもそれを変更させようとはせず、その決勝にすべての照準を合わせてきたのではないのでしょうか。
こういう、結果を求められる世界で戦う選手たちは、
「自分のベストを、合わせた照準に撃ちこめなければ負け」なのだと
彼ら自身が誰よりも分かっているのではないでしょうか。
応援しているファンの一人として、この厳しい条件に抗議をしたい気持ちは痛いほどよく分かるのですが、仮に日本の全国民の総意として嘆願書が出されたとして、北島は喜ぶのでしょうか。
「事前に発表のあった条件はクリアしていなかったけど、みんながかわいそうだって言うから五輪決定」
・・・きっと彼なら辞退する。
日本男子平泳ぎの最も速い男
それに、北島が辞退すると思う理由はもう一つ。
北島を破り1位だった小関也朱篤(こせきやすひろ)の存在です。
小関は今大会「不調」とされながらも北島を破り、3連覇を達成しています。
もはや日本の男子100m平泳ぎの「最も速い男」と呼ぶことに疑う余地はありません。
しかし、そんな日本選手権1位の彼も「派遣標準記録」の壁に五輪の切符を拒まれました。
つまり、今回の日本選手権において男子100m平泳ぎの五輪代表内定者は「不在」となったのです。
2つの条件のうち、同じく2位以内という条件を一つだけクリアしている選手がいるのなら、2位の北島ではなく1位の小関が出場するのが筋というものではないでしょうか。
過去の実績で決まった出来レース
北島は年齢的に今回が最後の五輪になるかもしれない?
年齢的に今回が最後というが、五輪など一生に一回出場できるかどうか分からないものだし、けがなどだっていつ選手を襲うかわからないと思います。
ほとんどの選手が、生涯一度のラストチャンスという覚悟で臨んでいるのではないでしょうか。
北島は20年、日本水泳界を引っ張ってきた功績がある?
ちょっと待ってくれ。
功績で決まるなら、もはや選考大会など「出来レース」としか言えず、若手は大御所が引退するのを待つしかなくなってきます。
覚えているでしょうか。
2007年世界柔道代表選考を兼ねた全日本選抜体重別選手権。
谷 亮子は、決勝で福見友子に敗れたが「過去の実績」が重視され谷が代表に決まりました。
僕はこの決定を聞いたとき、たしかにこんな表情になりました。
というわけで、賛否が分かれることを書いてきたわけですが、僕は今回の「抗議殺到」には、
気持ちはわかるけど、そんなことをしても僕たち応援する側の自己満足にしかならないのでは、という見解です。
かつて、北島康介が語った言葉を紹介して、この話を閉じたいと思います。
負けるのは悔しい。でも、負ける度に課題を発見し、次へ向かうことができる。悔しさは、未来への原動力になる。
「200mで頑張る」と言っている北島を、心の底から応援したい。
また、あのガッツポーズを見せてくれ。
それではまた。
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