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エッセイ「教科書が教えないリアル」

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【わが子の中学受験体験記】愛知県女子最難関・南山中学校女子部合格への道Ⅱ「日能研」 | 学習塾カレッジ塾長 エッセイブログ

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26

2020.01

【わが子の中学受験体験記】愛知県女子最難関・南山中学校女子部合格への道Ⅱ「日能研」

ちょうど1年前、たくさんのお守りを日能研バッグにつけたのかちゃんは、南山中学校女子部の入試会場にいました。

 

 

 

 

「もう1年経つんだね」

 

「ほんとにあっという間だね」

 

 

最近の朝の駅までの車中では、ふとした拍子にそんな会話がたびたび飛び出します。

 

 

 

昨日は、南山中学校女子部の入試日でした。

 

 

受験生みなさんは、これまでの努力の成果を思い残すことなく出し切ることができたでしょうか。

 

 

保護者の皆様も、これまでお子様と歩まれた日々を思い返して万感胸に迫る思いで明日の結果到着を待たれていることと思います。

 

 

どんな結果になろうとも、ここまで頑張ってきたお子様を、そして支えてこられたご自身を、ぜひ誇りに思っていただきたいです。

 

 

 

 

受験勉強のスケジュールを決めた三者面談

 

 

 

 

4年生の冬に私立中学受験を決意したのかちゃん。

 

 

受験勉強を始めるにあたり、僕は「三者面談」を行いました。

 

 

中学受験には家族の協力が不可欠です。

同じ方向を向くために、どのようなスケジュールで、何を、どれくらいやらなければいけないのかを説明しました。

 

 

もちろん小4から本格的に受験勉強を始めている子と比べればスタートが1年間遅れていますので、よりタイトなスケジュールになります。

 

 

 

ただこれは僕が中学受験を考えていると保護者から相談を受けたときにいつも話すことですが、基本的には愛知県内の私立中学受験は5年生からでも遅くはありません。

 

 

むしろ4年生の間は「難関中学受験特有の”技術”を使いこなすための”土台”を徹底的に固める」ことのほうが、あとからぐんと伸びることにつながる場合もあると思っています。

 

 

また、4年生から始めると「3年間」という長い期間を受験勉強に使えるので、じっくり仕上げていけるというメリットもありますが、同時に小学生にその長い期間モチベーションを持続させなければならないという困難さも生まれます。

 

 

こればっかりは「どちらがいい」というものでもなく、その子の学習の状況や性格にもよると思います。

 

 

 

のかちゃんは、のかちゃんが4年生になるときにカレッジができて通い始め、着実に成績も伸ばし、とても前向きに一生懸命頑張っていました。

 

 

時期的にそのタイミングで中学受験塾に入るより、5年生になるときから中学受験塾に通うことにして、それまではカレッジでの自習時間を増やして標準から発展問題(私立特有の問題を除く)をしっかり固めるほうがいいと話しました。

 

 

当時テレビでやっていたドラマ『下剋上受験』の影響もあったのだと思いますが、のかちゃんは「パパと一緒に受験勉強をしたい」と言いました。

 

 

それは僕にとってとてもうれしい言葉で、自分が持っている力がのかちゃんの力になるのであれば、土日もフルに使ってのかちゃんの勉強に付き合おうと思いました。

 

 

 

 

 

ドラマの影響はモロだったみたいです。( *´艸`)笑

 

 

 

 

「一緒に頑張る」ということ。

 

 

難関私立中の入試問題は、野球やテニスでいうところの、軟式が硬式に変わった程度のちがいではありません。まるで競技そのものが別であるかのようにちがいます。

 

 

 

 

 

カレッジでの小学部の授業は、愛教大附属岡崎中入試のレベルまでは対応しています。

 

 

附属中入試も決して平易ではなく、特に算数では通常の教科書レベルの問題しか勉強してこなかった子には高得点を取ることは難しいと思われます。

 

 

しかし、その附属中入試もあくまで「教科書内容の延長」と言ってよいかと思います。(「だいぶ延長」ですが苦笑)

 

 

 

愛知県内でいうと、東海・滝・南山女子などの難関校の問題は、もはや「その延長」ではなく「別のレール」を走っています。

 

 

 

のかちゃんがその難関校を目指すということは、それはいつかのかちゃんを僕の手から離して、別のレール、つまり中学受験専門の塾に預けなければならないということでした。

 

 

 

まだ見ぬ壮絶な受験生活への不安と期待が入り混じった表情を浮かべ、僕と一緒に頑張りたいと微笑むのかちゃん。

 

 

僕はのかちゃんを不安にさせないように、「うん、一緒に頑張ろう」と力強く答えました。

 

 

そのときののかちゃんのうれしそうな顔は、今でも忘れられません。

 

 

 

ただ、そんなのかちゃんを見ながら、僕はほんの少し先の未来にやってくる”別れ”を思い、小さなさびしさを感じていました。

 

 

僕ものかちゃんと一緒に、最初から最後までずっと一緒に中学受験をしたかったです。

 

 

でも、カレッジにはたくさんの子が通い始めていましたし、のかちゃんの中学受験に合わせて指導内容を変えるわけにはいきません。

 

 

僕を信じて大切なお子さんを預けてくださった保護者の皆さん、そしてカレッジでの授業を楽しみに通うたくさんの生徒たちがいるのです。

 

 

 

僕は自分に言い聞かせました。

 

 

一緒に勉強することだけが「一緒に乗り越える」手段ではないと。

 

 

のかちゃんがベストを尽くせるように、迷わなくていいように、サポート役に徹しようと。

 

 

それは仕事をしっかり頑張ることであり、のかちゃんをちゃんと”別のレール”にのせてあげることでした。

 

 

 

日能研豊田校に入会

 

 

僕はたくさんの中学受験専門塾の中から「日能研」を選び、のかちゃんにすすめました。

 

 

なぜ日能研にしたのか、塾の先生の視点を聞きたいという声もあるかと思いますが、こればかりは差し控えたいと思います。

 

 

もちろん僕なりに日能研にわが子を託そうと思った理由はありますが、それは「わが子にとって」最適だと判断したのであって、決して他塾がよろしくないとかではないのです。

 

 

他の中学受験塾もそれぞれに素晴らしい特長や指導方針があります。

 

 

何よりも大切なことは、それぞれの塾に大切なお子さんを託そうと信じた最初の気持ちを貫いていただくことかと思います。

 

 

 

 

日能研の新学年授業は2月から始まりますので、僕が調べ始めた段階ではすでに新学年のカリキュラムが動き出していました。

 

 

3月下旬の春期講習から通うことにしたのですが、入会テストを受けなければなりません。

 

これによって、クラスも決まります。

 

 

日能研豊田校には、MクラスとAクラスがあり、難関私立中学を目指すのであればMクラスで授業を受けたいところです。

 

 

電話で説明をしてくれた先生は、「Aクラスからでも頑張ってMクラスに上がる子もいますよ」と話していましたが、確定的根拠はのないものの、僕は「中学受験の難関校受験には上位クラスに何が何でも食らいついていかなければならない」と思い込んでいます。

 

 

だから、この入会テストで何とかよい成績を取れるように準備をしようとのかちゃんに話しました。

 

 

僕が先生から聞いた入会テストの出題範囲(算数)には、まだのかちゃんが未履修の内容も含まれていました。

 

 

土日、二人でカレッジに出かけ、とにかくハイペースで説明と演習を繰り返しました。

 

 

入会テストという小さいながらも二人で同じ目標に向かって頑張っていることがとにかく楽しかったです。

 

 

 

そして、数週間後、入会テストを受けに日能研豊田校に行きました。

 

 

2階のエントランスで、「とにかく基本問題でミスしないように!落ち着いて頑張っておいで!」と小さく声をかけると、のかちゃんは緊張した面持ちで「うん!」とうなずいて先生に連れられ教室へと移動していきました。

 

 

テストが終わり、採点を待つ間、小さな声でのかちゃんと話をしていました。

 

「どうだった?」

 

「うん、最後の問題がむずかしかったけど、けっこうできたと思う」

 

「一緒にやったとこ出た?」

 

「えっとね、ぜんぜんでなかった」

 

「ええええええ?まじで?笑笑」

 

「うん笑笑」

 

 

そうこうしているうちに、先生が答案用紙を持って僕らのところにいらっしゃいました。

 

 

「とてもよくできていました。和華さんにはMクラスで授業を受けていただきますね。」

 

 

心の中で大興奮しながら、僕は先生に「どうかよろしくおねがいします!」と、祈るような気持ちで深々と頭を下げました。

 

 

入塾してくる保護者の方の中には、同じように頭を下げてくださる方も見えますが、その気持ちがとてもよくわかった瞬間でした。

 

 

 

中学受験の洗礼

 

 

こうして無事にMクラスに入ったものの、帰りのお迎えに行った妻の話では、車内で「全然できなかった」と泣いていたこともしばしばあったそうです。

 

 

そして、はじめて受けた4月初旬の「日能研全国公開模試」で、僕は、難関私立中学受験に向けた勉強と通常の勉強とのちがいをまざまざと見せつけられることになるのです。

 

 

のかちゃんが、4年生の12月に受けていた模試は、「小学ぜんけん模試」(主に非受験者対象)で

偏差値は、算数 66 国語 59 二教科総合 64 でした。

 

 

ところが、5年生の4月に受けた「日能研全国公開模試」では

偏差値が、算数 48 国語 54 二教科総合 51 だったのです。

 

 

こちらでも説明していますが、模試は受験者の層によって偏差値の出方が大きく異なります。

 

分かってはいたものの、二教科総合で13も違うことにはさすがにびっくりしました。

 

 

 

でも、僕は、のかちゃんはきっと乗り越えてくれると信じていました。

 

 

 

僕はくり返しのかちゃんに話しました。

 

 

予習なんかいらない。

 

とにかく復習。

 

授業で習った内容、解いた問題を何度も何度も繰り返して、次の授業のときにはそれが完璧になっていればいい。

 

 

テストでは基本問題。

 

これを絶対に取って得点の土台にしようね。

 

 

のかちゃんは、素直にそれを実行してくれました。

 

 

受験が終わるまでの1年と11か月で、のかちゃんが積み上げたノートの数は、100冊近くに上りました。

 

 

 

日能研にはカリキュラムテスト(通称カリテ)という2週間に一度、授業内容の復習定着度を確認するテストがあります。

 

 

日能研の先生にも、「まずはカリテで高得点が取れるようにしっかり復習をしてください」とアドバイスを受けていましたので、のかちゃんはやることを「復習」に絞り徹底的にくり返していました。

 

※余談ですが、カレッジで行っているカレッジテストを「カレテ」と略しているのは、「カリテ」がとても呼びやすかったのでそこからまねさせてもらってます。( *´艸`)カレテの結果を答案で翌日までに保護者に送信するのも、日能研で行われていたテスト結果伝達方法に感動したからまねして始めました。(マネしまくりw)

 

 

復習中心の勉強は思いのほか早く結果にあらわれるようになり、9月、10月に受けた全国公開模試の偏差値は四教科総合で60、62となりのかちゃんに手ごたえと自信を感じさせるには十分な結果となりました。

 

 

11月に偏差値が51に逆戻りして、浮かれ気分にバケツいっぱいの冷や水をかけられることになりましたが。苦笑

 

 

 

 

父として、塾の講師として気をつけたこと。

 

 

僕も塾の講師という仕事をしているので僕にもその知識があります。すると、ついつい「こんなやり方もあるよ」と自分の持っている知識と技術を披露してしまいがちです。

 

 

これは、お父さんお母さんがお子さんに勉強を教えるときにやってしまいがちなあるあるネタでもあります。

 

 

 

でも、教壇に立つ側として僕も感じることがあるのですが、プロにはプロの指導に関する長期計画があります。

 

 

 

授業で問題を地道に計算をさせていると、たまに「もっと簡単なやり方あるよ」と“公式”を披露しはじめる子がいます。

 

 

自分でそれを導き出したなら立派なことなので「すごいねーどうやって考えたの?」と聞くと「お母さんが教えてくれた」と。苦笑

 

 

公式は魔法のようなものです。

 

 

複雑な計算を、あっさり解くことができるようになります。

 

 

当然僕も授業で使用する問題について、公式があるものは把握しています。

 

 

しかし、それを使わずに計算させているのは、はじめからその魔法に頼ってしまうと、最近多い「なぜそうなるのか」を説明するタイプの問題が解けなくなるし、公式が使える条件から少し外れた場合に応用がきかなくなってしまうからなのです。

 

 

家で一緒に勉強していて、わが子が遠回りな手数の多い計算をしているとついつい自身の持っているワザを伝えたくなってしまいますが、それは目先の問題解決であって全体を見れば必ずしもプラスに転じることとは言えません。

 

 

だから、とにかく公式・裏技的な話やこんな解き方もあるよといった話はなるべくしないように気をつけました。

 

 

 

また、ある程度軌道に乗ってきたら、質問に答えすぎないようにしました。

 

 

初期のころは、授業で分からなかったところや宿題、カリテの復習などでのかちゃんが質問に持ってくると何でもじっくり説明していました。

 

 

(僕が質問に答えた説明の用紙なども全部切り貼りしてとっていたようです。( ;∀;)嬉)

 

 

しかし、説明していると「日能研の先生はこのやり方を使うかな?」という思いが浮上します。

 

 

先生がその段階でのかちゃんたちに身につけさせたいやり方とちがうものになってしまっていたら、先ほどの公式の話ではないですが、先生の段取りを崩してしまうことになりかねません。

 

 

そして、あまりにも家で質問することに依存しすぎると、「分からなかったら家で教えてもらおう」という気持ちがのかちゃんの中に生まれかねません。

 

 

それは授業への集中力を欠くことにもつながってしまうかもしれないし、日能研の先生に質問しないようになってしまうかもしれないことだと思いました。

 

 

こんな解き方もあるよとその段階で習っていない解法を教えない。

 

ある程度勉強が軌道に乗ってきたら、家での質問対応はなるべくフェードアウトして塾の先生に対応してもらう。

 

 

結果として、僕が質問への回答をフェードアウトしていったことは功を奏したようです。

 

 

受験が終わった後、のかちゃんと一緒に教室にお礼に伺ったとき、算数の先生が冗談半分でおっしゃっていました。

 

 

「いや~毎回の和華さんの質問がこわかった」と。

 

( *´艸`)笑

 

 

それくらい毎回のかちゃんは先生に質問しに行っていたようです。(*´з`)b

 

 

 

幼いころ、自転車に乗る練習をしたときように、最初は支えてあげながら一緒に走ろう。

 

 

そして、レール変更が完了して少し勢いがついたら、あとは日能研の先生たちに託し、合格への道案内をしてもらおう。

 

 

 

わが子を託した塾の先生を最後まで信じぬく。

 

 

僕が父として、講師として、最後まで貫いたことでした。

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 


 

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執筆者の紹介

西川 賢

西川 賢(Ken Nishikawa)

株式会社カレッジ代表取締役
学習塾カレッジ塾長

慶應義塾大学 通信課程 文学部 第1類在学中。
真面目なのかふざけているのか分からない、忖度ひかえめなピリ辛スパイスがちょっとくせになる「教科書が教えないリアル」は、塾長の優しさとおふざけと強い信念がつまったエッセイブログです。月に1回程度のアップでも、おかげさまで年間PV200万😊
毎日生徒と向き合っているからこそ生まれる「リアル」を、人間味たっぷりに綴ります。不定期更新なので、通知が受け取れるLINE登録がおすすめです。

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