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エッセイ「教科書が教えないリアル」

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読書以外で読解力を身につける方法 | 学習塾カレッジ塾長 エッセイブログ

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22

2018.05

読書以外で読解力を身につける方法

読解力は一朝一夕では身につかない

 

「読解力はどうしたらつきますか」という相談は、もしも「先生を困らせる勉強の相談ランキング」というものがあるとしたら、かなり上位にくる質問ではないでしょうか。

 

 

以前、数名の塾長さんたちと名古屋でランチをしたときにも話題になり、

 

 

「いかに幼児期から本を読み聞かせたり、本を読んだりしてきたかなんですよ」という一言に、

 

 

「そうなんですけど、それをしてこなかったから相談に来るんですよね」と、みんなで苦笑いした思い出があります。

 

 

(´艸`*)

 

 

実際、読解力は一朝一夕に身につくものではありません。

 

 

「これをやれば読解力がつく!」などの即効性のあるものが存在しないのです。

 

 

受験生が冬にそんな相談をしてきても「手遅れ宣告」をせざるを得ず、漢字や文法など知識問題で得点をかせぐようにアドバイスするしかないこともあります。

 

 

 

読解力は「読む」ことで身につく?

 

 

読解力というと「読み解く力」と書くように、「読む」ことを中心にトレーニングすることが多いのではないでしょうか。

 

 

こんな仕事をしているわけですし、生徒や保護者の手前、ここはあえて謙遜せずに胸を張って申し上げれば、僕は読解力のある人間です。(*ノωノ)

 

 

では僕が、そんなに本をたくさん読んだ学生時代を過ごしたかと言えば、申し訳ないことに「ほとんど読まなかった」というのが偽りのない事実です。

 

 

中学高校のころなど、読書感想文の課題が出れば本は手にするものの、それさえもすべてを読まず、作品中の一部分を取り上げてその部分についてだけ批評まがいなことを書いて提出していました。

 

 

 

学習まんがや大河ドラマはとても有効

 

 

ちなみに、小学校のころを振り返って、親に感謝したいことがあります。

 

 

本(活字)を読まない僕に、両親は「学習まんが」をたくさん買い与えてくれました。

 

 

僕の理科や社会の知識の土台は、これによってかなり固められたと思います。

 

 

下の写真にある学習まんがは、現在カレッジの本棚に置いてあるものです。

 

 

「日本の歴史」はあんまり内容が古いと現在の教科書の内容と合わないこともでてきてしまうので買いなおしましたが、それ以外のボロボロになっている本は、僕が小学生のころに両親に買ってもらって何度も何度も読んだ学習まんがです。

 

 

だいぶ処分してしまって、実家に残っていたのがこれだけでしたが、本当にたくさんありました。

 

 

また、歴史については僕の父が非常に知識が豊富な人で、大河ドラマはもちろん特番の「赤穂浪士」や「白虎隊」、時には「大岡越前」や「暴れん坊将軍」でさえ、史実に近いストーリーがあるとそのうんちくを聞かせてくれました。

 

 

のちに大学受験の勉強をする際に、このときの父のうんちくが強烈に助けてくれることになるとは、あのころは思ってもいませんでしたが。(´艸`*)

 

 

 

受験勉強の中で生まれた本への興味

 

 

僕がたくさんの本を手に取るようになったのは、大学受験が終わってからでした。

 

 

受験勉強の中で、たくさんの読解問題を解きました。

 

 

すると、中にはものすごく興味がひかれる文章に出会います。

 

 

しかし、読解問題で引用されている文章は、多くの場合「全体の一部分」です。

 

 

一部分を味見させられて、全部食べたいという気分にさせられた感じですね。笑

 

 

ただ、詳しくはまたいつか書きたいと思いますが、僕は他の受験生よりもかなりマイナスからのスタートでした。

 

 

興味をひかれる文章に触れるたびに、その本を本屋や図書館に探しに行って読んでいる時間はありませんでした。

 

 

文章題の本文末尾には出典と筆者の名前が書かれていましたので、僕はそれをいつも持ち歩いていた小さなノートの「ごほうび」のページにメモしておきました。

 

 

「ごほうび」のページというのは、そのノートの中の1コーナーで、そこには勉強以外の「やりたい」と思ったことを箇条書きで書き込んでいたのです。

 

 

受験が終わったら、片っ端からその我慢していたことをやっていこうと思っていたのです。

 

 

やりたいことをあきらめるのではなく、先送りにしているだけだというこの書き込みは、僕の心のいい慰めとなりました。

 

 

受験が終わって、ダムが決壊したように本を読み漁った春のことをよく覚えています。

 

 

「読解」と「書く」

 

 

話を戻します。

 

 

僕は、大学に入るまであまり本(活字)を読まなかったにもかかわらず、大学受験の現代文の読解問題ではそこまで大きく苦しむことはありませんでした。(知識事項で苦しんだのは事実ですが。)

 

 

なぜでしょうか。

 

 

思い当たる原因があります。

 

 

それは、「書いていた」ということです。

 

 

僕は、小学校高学年のときに授業で書いた詩が、先生にものすごく褒められたのをきっかけに、いろいろなことを書くようになりました。

 

 

今となっては恥ずかしくて絶対人に見せられないような、僕の内面を書き綴ったノートです。

 

 

就職で愛知に引っ越すことになったのを機に処分してしまったので、今となっては読み返すこともせきませんが、誤字や脱字も多く、語彙力だってそうとう乏しかったにちがいありません。

 

 

しかし、書いていたときの心理状態はよく覚えています。

 

 

書けば書くほど、頭や感情の中にいろいろな思いが積み上がっていきます。

 

 

すると、ますます表現したい欲求が生まれました。

 

 

誰に見せるわけでもなく、でも誰かに伝えるつもりで、思いのままをたとえ一言でも、どんどんノートに書き込んでいきました。

 

 

皆さんは、自分が言いたいことをうまく言えず、相手に理解してもらえないというもどかしい思いをしたことがないでしょうか。

 

 

僕にはありました。なんにも考えていないころには、実際なんてことないものでしたが、多くの思考が頭の中でふくらんでいくにしたがって、そのことに対するもどかしさは大きくなっていきました。

 

 

僕は「言葉」が知りたくなりました。

 

 

この気持ちを表現するには、どんな言葉を使えばいいんだろう。

 

 

本は読まなかったくせに、四字熟語・慣用句辞典や、逆引き辞典、あと名言名句事典は僕の愛読書でした。笑

 

 

そして、いろんなことを人に話しました。

 

 

書いてみて、言ってみて間違いに気づくこと、指摘され感覚のズレに気づくことは多く、それは自分を成長させる有効な失敗となりました。

 

「汗をかけ。文字をかけ。恥をかけ。」

 

 

まさにこの言葉の通り、努力して、表現して、そして失敗して人は成長していくものだと実感しました。

 

 

 

書いていくうちに、いろんな比喩などの表現技法を使うようにもなりました。

 

 

うっすらですが、「序論・本論・結論」や「起承転結」など文章の構造も意識するようにもなりました。

 

 

これらのことを、自分が書く側で意識することで、読んだときに筆者の意図がつかめるようになった気もします。

 

 

くり返しになりますが、高校までほとんど本を読んでこなかった僕に、大学受験にもそこそこに対応できる読解力があったのは、幼いころからの学習漫画等による「基礎知識」と「書いていた」ことが大きかったと思います。

 

 

書写というトレーニング

 

小学部で行っている作文の添削指導について、お母さんからこんな相談を受けることがあります。

 

 

「なかなか進まないので、例えばこう書いたら?ってヒントを出すと、ほぼそのまま書いてしまうので、ほぼ私の作文というか、本人のためになっているのか…」

 

 

特に低学年のうちは、それでも全く問題はないと思います。

 

 

大学受験の小論文で、新聞の社説をただ書き写すだけという、わりと有名な勉強方法があります。

 

 

きれいな日本語の表現を書写することで、やがてそれを模倣しながら自分の言葉に置き換えて上手な文章が書けるようになるのです。

 

 

それと同じように、すべてではなくても、お母さんが使った「たとえ」を、本人が「おお~!かっこいい!!」なんて思ったら、今度は自分でも使いたくなります。

 

 

そのかわり、正しい日本語を意識していただきたいと思います。

 

 

ビジネスサイトではありますが、以下のページでとても的確な指摘がされています。

 

 

抜粋して引用します。

 

SNSでは入力の手間を省くために短縮した言葉や独自の新しい言葉が使用され、日常的に会話でも利用するため、正しい日本語を使う機会が減っています。また、新聞や本などを読むことが少なくなっていることもあり、
 
 ●正しい日本語に触れる機会がない
   ↓
 ●正しい日本語を使わない
   ↓
 ●覚えない
   ↓
 ●知らない
   ↓
 ●語彙力が低下する

といった事態に繋がっているようです。

 

 

「この子にはまだ早いかな?」なんて思わずに、正しい使い方を教えてあげてください。

 

 

正しく使う言葉に年齢制限などないのです。

 

 

入試対策「要約」

 

 

中3の入試対策の国語の授業では、夏から「要約」問題を必ず1題ずつ扱っています。

 

 

近年の愛知県入試の要約問題は、ただ単純に不要な部分を削って残った部分をつなげばできるようなものではなくなっています。(十年前くらいはそれで対応できました。)

 

 

「要約」は受験生たちが最も苦手とする設問で、冬までこの単元を持ち越す塾は多いと思います。

 

 

しかし、冬から取り組んで短期間で習得できる子は多くはないと思いますし、それまでの数回の模試でも出題されてきますので、変な自己流を身につけてしまう前に要約の授業をするのです。

 

 

昨年度も、少人数制の利点を生かして、毎回全員の答案をチェックしましたが、回を追うごとにみんな上達していったと思います。

 

 

特定の段落を要約できる力を養うことは、すなわちその段落の要点をまとめる力が身についていることを意味します。

 

 

各段落の要点の集合が、文章全体の要点のまとめとなるのは言うまでもありません。

 

 

要約力を身につけることは、配点の高さから言っても一石二鳥になることは間違いないと考えています。

 

 

人の思いに触れる

 

今回は、「読解力」を高めるための手段の一つとして「書く」ことにスポットをあててみました。

 

しかし、読解力の要と言えるのはやはり「語彙力」です。そのことは、またの機会に書きたいと思います。

 

 

最後に、子どもたちに「書くこと」を推奨していくために、以前配ったプリントの一部を引用します。

 

僕は文章を書くことが好きで、いろいろ書いているうちにちょっとずつ読解力もついてきました。そのことで最も自分にプラスになったと思うのは、たくさんの本の、そこに書かれている意味や表現を味わうことができるようになったことです。それは、知識の幅を広げただけでなく、僕の感性をきっと豊かなものにしてくれたと思います。本を相手に恥かしがる必要なんてないから、美しい言葉に触れれば素直に美しいと思えたし、優しい言葉に触れれば純粋に優しい気持ちになれました。読解力がなくて、表面的なことしか理解できない状態だったら、そういう感覚を持つことはなかったかもしれません。

 

 

本は、あなたの世界を拡げてくれます。

 

 

テストで得点を取るとかの、小さなことではなくて、正しく理解する力をつけるために読解力をつけましょう。

 

 

そのための手段の一つとして、書く。

 

 

本気で始めてみては、どうでしょうか。

 

 

 

それではまた。

 


 

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執筆者の紹介

西川 賢

西川 賢(Ken Nishikawa)

株式会社カレッジ代表取締役
学習塾カレッジ塾長

慶應義塾大学 通信課程 文学部 第1類在学中。
真面目なのかふざけているのか分からない、忖度ひかえめなピリ辛スパイスがちょっとくせになる「教科書が教えないリアル」は、塾長の優しさとおふざけと強い信念がつまったエッセイブログです。月に1回程度のアップでも、おかげさまで年間PV200万😊
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