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エッセイ「教科書が教えないリアル」

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駄菓子屋さんに置いてあったゲーム機「ゼビウス」 | 学習塾カレッジ塾長 エッセイブログ

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28

2016.04

駄菓子屋さんに置いてあったゲーム機「ゼビウス」

小中学生と話していると、よくゲームの話題が出てきます。

 

 

僕は携帯でひまつぶし的にツムツムくらいやることがありますが、基本的にはほとんどゲームはしません。

 

 

 でも、そんな僕も子どものころはよくゲームをやったものです。

 

 

僕は、ドラゴンクエストなどのロールプレイングゲームを好んでやっていましたが、シューティングゲームはあまりやりませんでした。

 

 

苦手なのと、小さなトラウマがあったからです。

 

 

新井薬師の駄菓子屋さん

 

 

僕は小学校時代を、東京の中野区で過ごしました。

 

 

もう30年も前のことです。

 

「8の日」(8・18・28日)には新井薬師の敷地内で「縁日」が開かれていました。

 

 

風の噂で今は規模が縮小されたと聞きましたが、当時は昔ながらの的屋さんが境内のまわりや参道に並び、人も笑顔もあふれんばかりに活気がありました。

 

1

 

 

当時僕は縁日になるとお小遣いを200円もらって新井薬師に出かけました。

 

 

新井薬師の石の道を抜けると、駄菓子屋さんが向かい合って並んでいます。

 

 

おばちゃんはエプロンのポケットに小銭をじゃらじゃら入れて、いつも手際よく群がる子どもたちをさばいていました。

 

 

駄菓子屋さんの前には10円で遊べるゲーム機などもおいてあり、200円のお小遣いでも1日けっこう楽しむことができたものです。

 

 

駄菓子屋さんのゼビウス

 

屋外にテレビゲームが一台置いてありました。

 

 

「ゼビウス」という縦に自動スクロールしていくシューティングゲームが、当時ものすごく流行っていました。

 

1

 

 

でもテレビゲームは100円なので、僕にはなかなか手が出せる代物ではありません。

 

 

いつも高学年の子たちがやっているのを、横に立って羨望のまなざしで見つめていました。

 

 

上手な人がやっていると、その一台のゲーム機の周りに10人近く観衆が群がります。

 

 

手元に100円が残っていても、僕のような初心者がやったらただ恥をかくだけ。

 

 

ゼビウスは僕の憧れのまま月日が流れました。

 

 

傷ついた一言

 

そんなある日、めずらしく駄菓子屋さんのゲーム機にだれも座っていませんでした。

 

 

しかも、周囲にも人がいません。

 

 

僕はポケットの中の100円玉を握りしめ、ゲーム機のイスに座りました。

 

 

少しガタつく小さなイスに腰かけ、僕は初めてのゼビウスに胸を高鳴らせました。

 

 

お金を入れてゲームが始まります。

 

 

慣れないレバーの操作。

 

僕はやみくもにミサイルを撃ちまくりました。

 

 

思ったより調子よく進んでいく。

 

 

いや決してうまいわけではないのですが、楽しくてたまりません。

 

 

ザッザッ

 

 

そんな夢見心地を、一瞬にしてかき消す足音が背後から聞こえました。

 

 

明らかに僕より高学年と思われる一人の少年が、僕の真横に立ち、僕のゼビウスを見下ろしています。

 

 

ドーン

 

 

僕はあっさり爆撃を受けてしまいました。

 

 

「なんだ、へたくそ」

 

 

少年はたしかにそうつぶやき去っていったのです。

 

 

根に持つタイプ

 

僕は、悔しくて、じわっと目に涙を浮かべながらそいつの後姿をにらみつけました。

 

 

根に持ちやすい僕は、今でもそいつのことを覚えています。

 

 

白い半そでシャツに短パン&ハイソックス&黒い野球帽。

 

 

タイムマシンがあったら絶対あいつに説教しに行く。

 

 

 

 

 

ドーン

 

よそ見している間に最後の一機が撃墜され、僕のゼビウスは散るように終わりを告げました。

 

 

 

それではまた。

 


 

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執筆者の紹介

西川 賢

西川 賢(Ken Nishikawa)

株式会社カレッジ代表取締役
学習塾カレッジ塾長

慶應義塾大学 通信課程 文学部 第1類在学中。
真面目なのかふざけているのか分からない、忖度ひかえめなピリ辛スパイスがちょっとくせになる「教科書が教えないリアル」は、塾長の優しさとおふざけと強い信念がつまったエッセイブログです。月に1回程度のアップでも、おかげさまで年間PV200万😊
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