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2018.11
「百マス計算」積極派と消極派、学習塾カレッジの場合。
今週、カレッジの小学部では「百マス計算記録会」を実施しました。
2016年の開校以来、これで通算6回目の開催となります。
動画の中でも一部ルールを紹介していますが、詳細なルールは以下のようになっています。
❶ 「スタート」の合図で始めてください。フライングは失格(記録なし)です。
❷ 消しゴムは使わなくてもかまいません。線で消して同じマス内に書き直しましょう。
❸ 字はていねいでなくても仕方がありませんが、丸つけする人が読めないほど汚い字は✕とします。
❹ 終わったら「はい!」と元気よく声をあげてください。タイムをつたえます。
➎ 言われたタイムを記録したら、うら返して待ちましょう。
❻ 1問まちがえるごとに、記録(タイム)に1秒プラスとなります。10問以上間違えたら失格です。
このルールは、百マス計算の目的を勘違いするとハマってしまう「速いだけ」を封じるものになっています。
❸によって、きたなすぎる字を封じています。
❻のペナルティは「正確さ」の要求となっています。速い子にとっての「1秒」は、2~3問分を解く時間に値することもあるので、なかなかキツいおしおきですね。( *´艸`)
また、失格になると、周囲の子たちは100マス計算の宿題がなくなりますが、失格者はクリアできるまで続きます。
百マス計算記録会までの道のり
小1の子たちは、初めは36マス計算を2週間ほど練習しました。2学期になってからのことです。
その後、100マス計算に移行しましたが、最初は10分以上かかっている子もたくさんいました。
それが、今回の記録会では速い子で1分台、学年平均は2分59秒にまで上がっていました。
小2の子たちは、夏休みから九九の暗記を始めました。
2学期の百マス計算は、初めのうちは縦に1~10、横に0~9が順序通りに並んでいるものでしたが、これも数週間で順番を崩して取り組みました。
小3~小6は共通問題です。
ここがおもしろいところで、同じ問題で負けるわけにいかない上級生と、下剋上を狙う下級生のバトルは非常に白熱しています。
(゜o゜)ん? 勝ったとか負けたとか他学年にも分かるの?
分かります。
教室にガッツリ掲示されるからです。(*^。^*)
そして、上部には上位4名の「四天王」の氏名が、写真と記録付きで掲示されます。
この四天王になることは、どの学年の子からも「あの子すごい」という目で見てもらえる名誉を手にします。
宿題で毎日のように百マス計算に取り組み、その週の自分の自己ベストと歴代四天王のタイムとを比べて「くぅ~あと少しだ!」と、四天王たちを目標にしている子もたくさん見かけます。
多くの子たちの「目標」にされる存在になることは、とても素晴らしいことですよね。
百マス計算をする最大の目的は何か。
ここからは、2016年11月の塾内通信に書いた文章を、一部再利用してお話します。
当時はまだご入塾されていなかった方にも、カレッジが百マス計算を導入する理由と思いを知っていただきたいためです。
個人差はありますが、やはり低学年であるほど集中力の持続時間は短いものです。
宿題チェックの際に、百マス計算のタイムを確認していますが、ある程度慣れてきてタイムが安定してきたころに、前日比で突然30秒から1分遅くなっていることがあります。
1日で計算力がその遅くなった時間に値するだけ落ちることなどありえません。
それがまさに目に見える形となってあらわれた「集中していなかった時間」です。
百マス計算は、わずか1分から3分の取り組みですが、それだけの時間を集中し続けることは難しいものです。
一般的に小学生の集中持続時間は15分が限界と言われています。(TVアニメなどが15分ごとにCMが入ったりするのもこのことに関係しているそうです。)
しかも、これは他のことを一切考えないで一点に没頭する完全な集中ではなく、そのことに気持ちを残し続けられるというソフトな集中持続時間だと考えられます。
単純作業(同じことを続ける取り組み)になれば、ますます集中を持続するのは困難になります。
百マス計算も、ある意味単純作業ではありますが、陰山英男先生が時間測定を加えたことでゲーム感覚で子どもたちを夢中にさせ、広く普及するようになりました。
「自分との競争」だけではなかなか本気になれない子もいますので、カレッジではたまに授業内でも行いますし、今回の記録会のように学年の枠を超えて対決させたりしています。
実際、高学年のある子は、もともと3分台で自分はこれ以上速くならないようなことを口にしていたこともありましたが、あとから入塾してきた同級生の子と張り合うようになり、今では1分台は当たり前となりこのことに関してとても自信を持つようになりました。
このように、カレッジでは「短時間でも1つのことに集中できる力の養成」を最大の目的として、百マス計算を導入しています。
百マス計算「積極派」と「消極派」
そんな百マス計算ですが、教育界では積極派と消極派に分かれています。
カレッジは百マス計算積極派です。
これまで述べてきたように特に「集中力」をつけることを主な目的として導入しています。
具体的な個人名は控えさせていただきますが、消極派の見解として紹介したものは、メディアにもよく登場する有名な二人の先生方の見解です。
お二人の教育論はとても共感できることやハッと気づかされることが多く、いつも勉強させていただいております。
そんな尊敬するお二人ではありますが、百マス計算については否定的な意見を持たれています。
「反復ならだれでもできる。応用力をつけるべき」
「百マス計算は学力低下をもたらした原因の一つ。害の大きい反復練習」
とまで言われています。
くり返しになりますが、このお二人の教育論には非常に多くの部分に共感し勉強させていただいています。
ただ、この点についてはまったく共感することができませんので、この場で意見を述べさせていただきます。
お二人のご意見で共通することは、反復練習の否定でしょうか。
しかし僕は「反復練習ならだれでもできる」などというのは理想論ではないかと思います。
その地道な努力をできない人間がどれほどたくさんいることでしょう。
応用力が大切なのは百も承知です。
ですが、その「応用」は積み上げた土台の上に成り立つものではないのでしょうか。
また、「百マス計算は学力低下をもたらした原因の一つ」という見解については、もはやあの画像に再登場してもらうしかありません。
百マス計算の目的が、純粋に計算力だけを向上させる目的であり、授業や日々の学習で「それしかやらない」というのであるなら否定も批判もあり得ると思います。
しかしその目的は、集中力を高めることであり、ついでに基礎計算力を高めるものであり、いわば日々の学習の準備運動です。
「字がきたなくなる」という意見も百マス計算を学習のメインとして捉えた推測ではないでしょうか…。
たしかに多少乱雑にはなりますが、普段の文字に影響が出ているようには感じません。
百マス計算を否定される方は、百マス計算を自らの教室で導入せず、断片的な見学や資料で批判をされているか、週に1~2回など単発的に導入してあまり効果を実感できなかった方が多いように感じます。
導入前後で明らかな子どもの変化を目の当たりにすれば見解も変わるかもしれません。
いずれにしても、これらの批判は、百マス計算が大々的に取り上げられ、高い評価を受けたことにより、あらゆる学習が単純な反復練習化され、そればかりに傾倒していくことの警鐘であり、百マス計算そのものを否定しているわけではないと信じています。
理論ではなく、実際に子どもたちの取り組みを通じてその成長に確信を得た学習塾カレッジでは、今後も続けていくつもりです。
それではまた。
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