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2018.09
小中学生の保護者必読本『下剋上受験』をあらためておすすめします!
以前にも少し触れたことがあるかもしれませんが、僕は本をたくさん読む方ではありません。
数年前に、たくさんの本を読むことを目的に「週何冊」とノルマのように自分に課して読みあさった時期もありましたが、正直僕の読書法としてはいまいちでした。
本にはそれぞれの著者の思いが詰まっていますので、読めば読むほどたくさんの思考に触れることができます。
それこそがまさに、たくさんの本を読むメリットだと思うのですが、僕の場合、残念ながらそのメリットを生かすことができませんでした。
自分の中のノルマなんかを決めてしまったものですから、時間がないと「ななめ読み」になることもあり、せっかくの著者の想いを受け止めきれずに本を閉じてしまうことが多々あったのです。
ものすごく頭のCPU(処理能力)の高い人なら、それでもどんどん内容を頭に心に落とし込むことができるのでしょうが、僕の頭のCPUはCORE i3と言ったところでしょうか。
たまにフリーズすることもあるちょいと残念な代物なのです。苦笑
※CPUのくだりはこちらの記事の下の方をどうぞw
そこで僕は自然と自分に合った本の読み方をするようになっていました。
同じ本を何度も何度も読むのです。
子どもが同じ漫画を飽きもせずに何度も何度も読むように、僕は気に入った本や刺激を受けた本をほんとに何度も読んでいます。
もちろん、『銀の匙』の授業※のような読み込みとは違いますし、話題の本には触れておきたい欲もありますのでちょいちょい他の本にも手を出しますが、同じ本を読んでいるのに、毎回新しい発見があったり違う感想を持つ部分があったりして、読み込む楽しさがあります。笑
※『銀の匙』の授業:灘中学の国語教師、橋本武先生の伝説の授業。中学3年間をかけて『銀の匙』(中勘助)を1冊読み上げる国語授業で、灘中学を全国屈指の進学校に導く原動力になったと言われている。
僕の座右の書となっている『下剋上受験』(桜井信一著・産経新聞出版)は、もう何度読んだか分かりません。
いつも持ち歩いているせいでたまに紛失してしまい、そのたびに購入していましたが、でもだいたい数日後には見つかるので、気がつくと3冊ほど持っていました。笑笑
僕がいつも『下剋上受験』を読んでいるので、もしかしたら家族は、パパは読むのがめちゃくちゃ遅い人なんじゃないかと疑っているかもしれません。
早さは普通です。何度も何度も読んでいるんです。( *´艸`)
桜井信一著『下剋上受験』―両親は中卒 それでも娘は最難関中学を目指した!
すべての小中学生のお子さんがいる保護者の方にぜひとも読んでいただきたい本をと聞かれたら、迷わず『下剋上受験』と答えます。本当に隅々までおすすめです。
内容は中学受験なのですが、中学生の保護者の方にもおすすめしたいポイントがあります。
それは、親としてもあらためて、勉強することの価値を再認識できることです。
親御さんが勉強の意義に確信を持てているかどうかは、お子さんの勉強の姿勢に決して無関係ではありません。
「隅々まで」という言葉通り、本を開いた表紙カバーのそでに書かれている言葉からして心に刺さります。
僕は塾の講師なんかやってまして、そのうえトップページに載せている講師としての経歴は、自分でいうのもおこがましいですがなかなか優秀な先生っぷりを漂わせています。(努力しました)笑
嘘は一つも書いていませんが、書いていない「学生時代」にも思いを巡らせ、さぞかし優秀な少年時代を過ごしたのでしょうという思い込みは誤りだとお伝えしたいと思います。苦笑
すみません。( *´艸`)
またいつか詳しく書きたいと思いますが、特に僕の小中時代を知る友人から見れば、僕が塾の先生(まして塾長)をやっているなんてにわかには信じがたい出来事で、「高校卒業後、けんちゃんの身にいったい何があったんだと思ってしまう変貌を遂げている」(友人談w)そうです。
著者の桜井信一さんは、ご自身は中卒という学歴でありますが、娘の佳織さんと一緒に最難関中学である桜蔭中学を目指し勉強をする中で、ご自身のそして周りの世界が変わっていく様子を著書の中で描かれています。
僕の生きる世界を変えたものも、勉強でした。
知識を得るたびに、ものの見える範囲も見え方も変わっていく楽しさは、もしかしたら(変な話ですが)小さいころからしっかり勉強してきた人には気づきにくい感動かもしれません。そういう視野が「ふつう」なのですから。
僕は自分が勉強劣等生からの半生でしたので、より「勉強の価値」を感じやすい人間なんだろうなと思っています。
だからこそ、僕は「勉強は人間を、世界を変える」と心から信じているのです。
今のご時世ですから、公立王国と言われる愛知県、、の中でもガチガチに公立志向が根強い岡崎市においても、お子さんの将来に思いをはせるとき「私立中学受験」というのは多くのお父さんお母さんの頭を幾度となく行き来するワードではないでしょうか。
そこには多くの強い「葛藤」があるはずです。
そのさまざまな葛藤を、著書の中で桜井さんは赤裸々に、そして正直な言葉で語られています。
この本のおもしろさの一つは、この「父の葛藤」だと思います。
桜井さんならではの視点で、さまざまなことがらにツッコミを入れながら思いが語られていきます。
葛藤の矛先は、塾に対しても向けられるのですが、同業者ながらにとても共感できることがあり何度読んでも飽きが来ません。
たとえば、本格的な受験勉強を始める前の段階で、桜井さんは中学受験塾をまわり検討している場面があります。
そこでの「葛藤」の一部を紹介します。
中学受験塾は、つくづく(現代社会に必要な)不安商法だと思う。親の不安を煽り、親の良心を探り、親を値踏みする。その膨大なサンプルを研究し、無理すればぎりぎり出せる上限の料金体系で攻めてくる。しかも、現実に栄光を手に入れた優秀な児童たちをちらつかせ、あたかもその門戸が広いと誤解させる。そして、その不安商法に騙される消費者の多くは、騙されている自分を「親馬鹿」と称し満足しているのだ。
――そんな親に私もなりたい。ここは黙って騙されておきたい。それが多数派ならば黙って流されてしまいたい。しかし、どうしてもどうしても、免疫が働いてしまうのだ。
塾は言う。地元の公立中学に進学するのは非常にリスクがありますよ、このままではお子さんの将来が暗いですよ、それでいいんですかお父さんお母さん、それでも親ですか、教育費を出し惜しむ親って虐待ですよ、そのお洋服高そうですね、そんなお金はあるのに塾代は出せないってことですよね、わあーひどい親ですねー、お子さん可哀そうですねー、それに比べてうちに通っている子どもたちは恵まれていますよねー、おーくわばらくわばらと、一切口に出さずにテレパシー送信能力を使って――塾は言うのだ。
桜井信一著『下剋上受験』(産経新聞出版)より引用
どうでしょう。
読みながらすでに「あぁ~ワカルきがする~」ってニヤニヤし始めてしまいませんか?( *´艸`)
こういうのが続々と登場します。
そして、「親」として涙がこみあげてくる場面もたびたび登場します。
桜蔭中の入試当日、試験終了時刻を過ぎると、保護者が待機している講堂で入試問題の実物が配布されます。
それを手にとって問題を確認しようとするシーンです。
――席に戻り、目を閉じる。なかなか決心がつかない。うまく呼吸ができず、心の準備ができない。しかし、まわりの話し声から試験問題を知るよりも自分の目で確かめたい。覚悟を決めてゆっくりと目をあけた。
一番上は国語だった。文章の長さはいつも通りだった。数枚目にある算数の問題をチラッと見たあと、国語の文章を読んでみることにした。そこに現れたのは――。
最難関の文章だった。
とんでもない文章に、とんでもない設問だった。桜蔭中学校入学試験問題と書かれていなくてもそれとわかる最難関の国語だった。
涙が溢れた。止まらない涙だった。こんな問題と格闘した娘が自分の子だと思うと、今すぐ駆け寄って抱きしめてやりたい気持ちで一杯になった。
1年前はこの半分の長さの小学生向きの文章すらうまく答えられなかった娘が、今日こんなレベルの問題に取り組んだ。記述である以上、佳織はこのレベルの設問に自分で答えを考え、自分で解答欄に書き込んだのだ。涙で読めない。気持ちが溢れて読めない。――
桜井信一著『下剋上受験』(産経新聞出版)より引用
もう何回読んでも感情移入して涙が出てきます。
中学受験は、両親が勉強することに対して疑問を感じていたら絶対にうまくいかないと言われています。
難関中学を目指すのであればなおさらです。
「覚悟」が必要なのは本人だけではないのです。
本人を引っ張り支え続ける親にこそ強く揺るぎない「覚悟」が必要です。
『下剋上受験』には、その「覚悟」の具体例やヒントが豊富に登場します。
お子さんが中学受験をする親御さんはもちろん、検討中という方もそうでない方も(全員てことですねw)必読の書だと思います。
それではまた。
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