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エッセイ「教科書が教えないリアル」

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【カレッジの図書コーナー】一気に本の数を4倍に増やした話 | 学習塾カレッジ塾長 エッセイブログ

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21

2018.06

【カレッジの図書コーナー】一気に本の数を4倍に増やした話

カレッジの自習室でする、勉強以外のこと。

 

 

カレッジの自習室には、たくさんの問題集が置いてあります。

 

 

でも、教材は各自が持ってきているし、決して少なくない宿題も出ているので、正直言うとそれらの問題集を自ら手にとって勉強する子はあまり多くありません。

 

 

自習室での勉強が一段落すると、子どもたちは別のことを始めます。

 

 

それは、読書です。

 

 

カレッジの自習室は、「自習室」と名がついていますが、必ずしも勉強専用のスペースではありません。

 

 

本を読んでもいいし・・・、いえ、むしろたくさんの本を読んでほしいと思っています。

 

読みかけの本

 

 

授業後に自習室に残る子たちは、宿題をやる子もいれば本を読む子もいて、それぞれ自由に過ごします。(まわりに迷惑をかけなければ何をしても良いことになっています。)

 

 

お迎えが来るまでの待ち時間に本を読む子は多く、タイミングによっては読み終わらないこともあります。

 

 

読みかけで授業が始まったり、お迎えが来てしまったりした場合は、本棚最上段に名前を書いたしおりをはさんで立てかけておきます。

 

 

 

 

これでいちおう他の子はさわれない「バリア」を張ったことになります。( *´艸`)

 

※「10分で読めるお話」を10分で読み終わっとらんのかいとかつまらないこと言わないようにしてください。本の中の1話10分です。(*‘∀‘)

 

 

また、読んだページ数の1/10がポイントになります。(2020年度からはポイント制は廃止しています)

 

例えば、142ページの本なら14ポイントです。(一の位は切り捨て)

 

 

ポイントはためるとガチャガチャも回せたり、図書カードと交換できたりもします。(#^.^#)

 

ポイントの申告方法は、「みんなの読んだ本」という掲示に、本の名前・ページ数・おすすめ度・自分の名前を記入するだけです。自習室の先生が見ているので読んでいないのに書く子はいませんね。(゚Д゚)ノ

 

 

 

自習室は自由室ではありません

 

 

自由に過ごせますが、自習室は「自由室」ではありません。

 

 

いちおうルールがあります。

 

 

当然ながら私語厳禁です。

 

 

また、授業でテストがあるときは、まずはその最終確認(勉強)をすることになっています。

 

 

準備が不十分なのに、テスト勉強そっちのけで本を読んでいるのは優先順位がちがいます。

 

 

「やるべきことをやってから好きなように過ごす」のは、まあ当たり前といえば当たり前ですよね。

 

 

「今なにをするべきか」という優先順位については、小1の子たちにも少しずつ教えています。

 

 

ちょうど先週の授業でも「ゆうせんじゅんい」という言葉を書いて、具体的に説明していました。

 

 

もちろん、( ゚д゚)ポカーン な子がたくさんです笑

 

 

でも、一度言って理解して行動できるようなら人類かどうか疑う必要があるwわけで、何度も何度も言い続けて身につけていってもらいます。

 

 

実際、そんなふうに何度も言われてきた小2以上の子たちの多くは、今となっては何も言わなくても授業前にはほとんど本は読まず、テスト勉強をしています。

 

 

新入生の子も、周囲の子が自然とそんな行動をとるので、少しずつ真似るようになっていきます。

 

 

「学ぶ」の語源は「真似ぶ」だと聞いたことがありますが、とてもよい傾向ですね。( *´艸`)

 

 

 

本をそろえるのは大変

 

 

現時点でおよそ800冊前後あります。

 

 

見学にいらした他塾の先生方に、よく「これかなりお金かかってるでしょ」と言われます。(;^ω^)

 

 

開塾当初、本棚はあるのに本が少なすぎては寂しすぎるという思いもあって、中古本屋さんを回ったり、インターネットで中古本を購入したりして200冊くらいそろえました。

 

 

中古の本にも高かったり安かったりいろいろありますが、おおざっぱな平均で1冊400円前後だったかと記憶しています。

 

 

単純計算で、400円×200冊=80,000円です。

 

 

開塾前で、まだ生徒がいない=無収入状態で、これ以上の本の仕入れは困難でした。

 

 

よって最初は、僕の自宅にあったビジネス書や学生のころに読んでいた漫画までずらーっと並べて「本がたくさんある感」を出していました。(;^ω^)

 

 

準備過程で出た段ボールなどを処分しに中央クリーンセンターに行ったとき、大きな鉄の入れ物に、たくさんの本や雑誌が入れられているのを見ました。

 

 

別に生ごみの中に埋もれて汚れているわけでもありません。本や雑誌だけがまとめて捨てられているのです。

 

 

多少古びてはいるものの、まだまだ読むことができるもののように思えました。

 

 

僕は、あわい期待を胸に職員の方に「この本を一部いただけませんか」と聞いてみました。

 

 

しかし、処分するものとして出されたものを持ち出すことは禁止されているそうで、残念ながら持ち帰ることはできませんでした。

 

 

 

あきらめられない「読書もできる塾」構想

 

 

図書用の本棚は4つ。

 

 

200冊ではまだまだスッカスカです。

 

 

僕は、「読書もできる塾」を創りたかったので、どうしてももっと本が必要でした。

 

 

やはり中古本を買いあさるしか方法はないのか…

 

 

しかし、本棚4つをそこそこに埋めるには800冊はほしいところ。

 

 

200冊そろえるのにすでに80,000円かかっている。

 

 

これを4倍の800冊にするということは、トータル320,000円かかるということだ。

 

 

より良い環境を求めての設備投資は、きちんとしていこうと決めていたものの、32万円はさすがに躊躇せざるをえないものがありました。

 

 

かといって、「読書もできる塾」構想は、そんなに簡単にあきらめるほど軽い思いではありません。

 

 

脱サラして、これからは自分で「経営」をしていくんだ。

 

 

経営者としてはまだまだ駆け出しの僕ですが、僕にとって「経営とは工夫である」というのが、シンプルだけどたどり着いた考えです。

 

 

金勘定は二の次です。簿記検定は合格したけど、基本的に税理士さんに丸投げです。苦笑

 

 

夜な夜な何か打開策があるはずだと考えることが、僕には楽しくてたまらない時間です。

 

 

 

本を一気に増やすことに成功したアイデア

 

結果として、今カレッジにある本はおよそ800冊になっています。

 

 

決して32万円かけて中古本を買いあさったわけではありません。

 

 

お金は、1冊につき50円かけました。

 

 

当初そろえた中古本の平均が400円であることを考えると1/8ですので、とても費用を抑えることができたわけです。

 

 

これだけ費用を抑えて、どのようにして本を4倍に増やすことができたのか。

 

 

そこにはやはり、ちょっとした工夫がありました。

 

 

 

僕は、多くのご家庭にある「児童書の行方」を想像しました。

 

 

末のお子さんの年齢が上がってくるにつれ、徐々に誰も読まなくなる本があると思うのです。

 

 

読まれなくなった本の、その行方は大きく分けてこんな感じかなと。

 

①資源に出される

 

②中古屋さんに売る

 

③その他

 

 

当然、捨てるくらいならほしいというのが本音です。でも「くださいください」はちょっとおこがましいです。

 

 

中古屋さんに売る・・・

 

 

なるほど、そちらのほうがメリットがあるならば皆さん中古屋さんに本を売りにいくという選択肢を選ばれるのかもしれません。

 

 

しかし、僕はある体験から、中古屋さんの買い取り価格についてちょっと偏った見方をしていました。

 

 

 

中古屋さんに本を売りに行った時の思い出

 

 

あれは、長女がまだ小3のころのことです。

 

 

僕は自分の部屋の片付けをしていて、もはや買っただけで一度も読まずに棚で眠り続けていた本を見つけました。

 

 

僕はなぜ買ったのかも思い出せないその本を売りにいくことにしました。

 

 

リビングで遊んでいた長女に、いい機会だと思って経済の仕組み(笑)を説明しました。

 

 

もちろんそんなに複雑な話ではなく、図を書きながら「いえーい」「いえーい」と言って話していました。

 

 

パパが1500円で買った本がある。

 

 

読まずに捨てたら1500円の無駄遣い。

 

 

でもこれを500円で買い取ってくれるお店がある。

 

 

パパは500円もらえていえーい。

 

 

お店の人も、ほんとは1500円のものを500円で手に入れられるのでいえーい。

 

 

しかも、お店の人はこれを600円でまた別の人に売る。

 

 

するとお店の人は100円もうかっていえーい。

 

 

「これが仕入れ値」とか「これを利益」とか言いながら話をまとめて、「今から本当にこの本を売りに行くけど一緒にくる? 買い取ってくれたお金はぜんぶあげるから、そのお金ですきなもの買っていいよ」と言うと、娘は大喜びです。

 

 

車内で「お店についたらさ、同じ本をいくらで売り出してるか見てみようよ。お店にとっての仕入れ値と売り値が分かるから、お店の『利益』も分かるよ!」と言うと、ますます楽しみになったみたいで、売る予定の本を大事に抱えて「アーどきどきしてきたー!」と興奮気味に足をばたつかせていました。

 

 

お店について、予定通り僕たち親子はまず自分たちが売ろうとしている本がいくらで売られているのかを確認しました。

 

 

その額なんと700円!

 

 

おおおお~

 

 

これは買い取り額にも期待が高まります。

 

 

買い取りレジの列にしばらく並び、いよいよ順番が回ってきました。

 

 

わずか1冊でしたが、ちゃんとパソコンで(何をしているのかは分からないけど)何かを確認してくれています。

 

 

しばらくして、渡されていた整理券の番号が呼ばれました。

 

 

「パパきたよ!」

 

 

長女の表情は、緊張しつつも口元に力を入れてニヤケるのをこらえているかのようでした。

 

 

二人でレジの前に立つと、店員さんが紙を見せてくれました。

 

 

「今回の買い取り価格はこちらになります。ご承諾いただけますでしょうか。」

 

 

そこに書かれていた金額は、なんと。

 

 

 

10円

 

 

無言で立ち尽くす娘の心境はどんなものだったのでしょうか。

 

 

車の中で、売れたお金で何の本を買おうかなーと話していた健気な少女。

 

 

1500円の本だから最低でも300円くらいでは売れるんじゃない?と楽観的な予想を口にしていた世間知らずな父親。

 

 

現金10円を受け取り、少しレジを離れたところで長女が「やっす!(; ・`д・´)」と渾身の一言を吐き出したのを見て、僕は思わず涙が出るほど笑ってしまいました。

 

 

「10円で買って700円で売るってもうけすぎでしょ!」小3の女の子に、実にリアルな「経済の仕組み」を見せてしまったできごとでした。笑

 

 

 

 

中古屋さんよりは高く買い取ろう

 

 

さて、そんなわけで古本屋さんに持ち込んでも「10円」という偏見を持っている僕は、こう考えたのです。

 

 

だったらうちに売ってくれ。

 

 

しかも、5倍の「50円」で買い取りましょう!

 

 

というわけで実行した「児童書買い取りキャンペーン」によって、カレッジの蔵書は800冊前後にまで増えたのです。

 

 

これは、実にご家庭とカレッジともに「ウィン・ウィン」な仕組みだと思っています。

 

 

ご家庭で読まなくなった児童書、資源に出したら0円、中古で買い取っても10円(偏見w)

 

 

それをカレッジに売れば、5倍の50円で買い取ってくれるし、役目を終えたと思われた本たちもたくさんの子どもたちに読まれてきっと幸せでしょう。

 

 

カレッジも、巷の古本屋さんで買えば平均400円くらいするものを50円で仕入れられるのは非常にありがたいことです。

 

 

これまで、たくさんのご家庭にあった図書をお譲りいただき、子どもたちも多くの本を楽しめるようになりました。

 

 

だいぶ本の数も落ち着いてきて、今は大々的にお知らせはしていませんが、実は継続中です。

 

 

ホームページの「よくある質問」のページにもちゃんと載っています。( *´艸`)

 

 

 

小さな工夫が、小さな魔法となって、たくさんの子どもたちの手に本を届けてくれました。

 

 

それではまた。

 

 


 

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執筆者の紹介

西川 賢

西川 賢(Ken Nishikawa)

株式会社カレッジ代表取締役
学習塾カレッジ塾長

慶應義塾大学 通信課程 文学部 第1類在学中。
真面目なのかふざけているのか分からない、忖度ひかえめなピリ辛スパイスがちょっとくせになる「教科書が教えないリアル」は、塾長の優しさとおふざけと強い信念がつまったエッセイブログです。月に1回程度のアップでも、おかげさまで年間PV200万😊
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